前回の投稿でお約束した、もう一冊の紹介です。
英語の本ではありません。
絵本でもありません。
この本です。
「もしも学校に行けたらーアフガニスタンの少女・マリアムの物語」
ジャーナリスト後藤健二さんの書かれた本です。
後藤さんが写真と文章を通して、私たち大人だけでなく、日本の子どもたちへも「本当の平和とは何か?」について、考え、行動する機会を与えてくれる、そんな一冊です。
難しい漢字にはよみがながふってあります。行間も広く、小学高学年生以上であれば読める内容だと思います。後藤さんの優しく、熱く、誠実な人柄が伝わってくるような文体です。
後藤さんを突き動かしていた、何か大きなものを、理解することができるような気がします。彼のメッセージは確実に、読む人の心に働き、何かが変わって行くはずでしょう。
この本の中に掲載されている22枚の写真は、どれも、戦いの犠牲になって暮らしている子どもたちや一般市民の姿を映し出したものです。弱い立場におかれている人々の様子や表情を通して、何かを伝えようとしてた後藤さんの思いが詰まった写真ばかりです。
大切な息子をアメリカ軍の誤爆で亡くした母親の横顔。
破壊された家の前にたたずむ人々。
車に家財道具を山のように積み上げて移動する家族。
配給センターの前に群がる難民の様子。
学校に行けることになり、友達と入学式に参加するために手をつないで登校する少女の姿。
鉛筆や消しゴムやノートなど、生まれて初めて文房具を受け取る子どもたちの笑顔。
教室に入りきれない子どもたちが、窓の外から中をじっと見つめる様子。
後藤さんの文章を読むと、平和のために私たちは何ができるのか、悪を繰り返さないためにはどうしたらいいのか、国際社会の役割は何なのか、いろいろなことが頭の中をぐるぐる巡って、でも本を読み終えるときには何か大切なメッセージが、心の奥まで、深く確かに、伝わってくるのです。本からの抜粋をひとつ書かせていただきます。
夕方、訪れた集落の広いゴミ捨て場で、小学六年生くらいの男の子と三年生くらいの女の子を見かけました。左手に汚れた大きなビニール袋、右手に木の棒を持って、ゴミをあさっています。二人は黙々と、ゴミの中から紙やビニール、鉄くずなどを拾っていました。
女の子が、足を止め、腰をかがめて何かを拾い上げました。
本です。
女の子は腰をかがめたままの姿勢で、その本を開いて、身じろぎせずにじいっと読んでいます。
太陽はもう少しで沈んでしまいそうでした。夕焼けのゆるい光に照らされたゴミの野原の中で、女の子が本を読む姿はまぶしいほど輝いていました。
(神さま、どうぞ彼女を導いてあげてください!)
わたしは、そう願って目を閉じました。(後藤健二著「もしも学校に行けたら」p.122)
遠く離れた国に行って取材をし、その国で起こっている事実を、その国で暮らしている人たちの現実を伝えるために、本に書き記してくれた人がいて、私にはその本を読める自由が与えられています。
何という恵み、何という平和。
平和や自由が奪われている国では、図書館や本屋が襲撃され、トラックに山積みされた本が燃やされ、捨てられ、人々から「読む自由」さえも奪っていくのです。
この投稿の前に紹介した”The Peace Book“の短い文を何度も何度も読み返しました。
私の頭の中にも、いろいろなセンテンスが浮かんできました。
Peace is having pencils, erasers, and notebooks.
Peace is having books to read.
Peace is reading all different kinds of books.
平和や自由が当たり前になってしまっている国の大人たちが、子どもたちが、この平和をけっして無駄にすることがないように、平和について一緒に考え、平和のために行動することができますように。大人たちが、子どもたちが、いろいろな本を読み、想像力を育み、心に感じ、ともに語り合い、行動して行くことができますように。
この本を一気に読み終わった後、私もそう願って、目を閉じました。
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