東京基督教大学で日本語多読クラスを担当しています。
自宅教室での英語多読を機に、日本語を勉強している留学生のための日本語多読の可能性を模索するなか、2013年頃からセミナー・ワークショップ参加、本集め、情報集めをし、授業の機会が与えられ、大学での実践は今回で5学期目となりました。
言語習得における多読の可能性は無限大。学生がいて、本があり、場が提供され、支援者たちのサポートがあれば、多読クラスは必ず成功すると信じています。本の数、本を手にして読む学生たち、そしてそれを見守る人たちの祈りの中で、想像していなかった豊かな世界が広がっているような気がしています。
大学のグローバル化が騒がれて久しいですが、忙しさを理由に本を読むことさえしない4年間が過ぎて行く、そんな学生は多いと思います。本の中には人の根源的な問題と言うか、世界共通のテーマがあふれていて、外国語習得という枠組み内での読書や多読活動を通し、グローバルな取組みができることを再確認しています。私たちのまわりにあふれるたくさんの言葉、本や絵本、音楽、映像、芸術に触れることを通して、日本のこと、また世界のこと、そして人の根本的なことがらに及ぶような、真にグローバルなテーマを共有できる、多読授業は、そんな可能性を秘めているように思える時があります。
難しいことばかり書いてしまったので、ここでちょっと、前回のクラスの様子をお話します。
多読授業では、なるべく多くのいろいろな本を選べるような場を提供することが大切だと思っているので、多読読み物の他に、アニメブック、児童書、子ども新聞、そして市の図書館で毎週絵本を20冊ほど借りて来て、テーブルの上に並べています。
ここ数週間、私の読書のテーマは「父」、”Father” 、”Daddy”、”Padre” なのですが、そんな思いのある中で、こんなすてきな絵本を見つけたので、授業のときテーブルの上に並べました。
我が家のガールズたちが小さかったとき、彼女たちからみた主人(Daddy)の存在はこのくらい大きかったことを思い出します。
子どもたちの目から見るパパの存在はと〜っても大きいのだと思うような素敵なイラストです。
ぼくのパパはおおおとこ
世界一のパパがいる人 みんなに
ぼくは なあんにも こわくないよ。
パパのうでの中ならね。
ぼくのパパはおおおとこ。
パパはハートも大きくて、ぼくのことこんなに、大好きなんだって。
1時間半ほどの読書の後、毎回授業の最後に「今日読んで好きだった話しを紹介する」という機会を設けています。
この本を手に取った一人の留学生が紹介してくれました。
彼女はみんなにこの本を読み聞かせてくれた後、たどたどしい日本語で、こんな感想を述べてくれました。
「この本はすてきです。見ていると安心します。読んでいるとき、天のお父さんのことを思います。天のお父さんは大きくて、やさしくて、私たちのこと大好きです。」
本が私たちの心を繋いでくれるひととき。
本を通して、私たち人間が慕い求める、真にグローバルな、人の根源的な思いの共有。
彼女がこの本を通して触れた日本語は、すてきなイラストと一緒に、必ず彼女の記憶の中にとどまって、心と言葉が通う体験へと繋げてくれることを信じます。
多読の可能性は無限大。
本と、場と、本を手に取る人たちと、支援する人がいれば、多読クラスはきっと上手く行きます。
最後に私のパーソナルストーリー。
私の姉が描いた、父を思う素敵な一枚。
私の宝物。
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